中国の武漢ウイルス研究所は、新型コロナウイルスと同じ受容体を持つ新しいコロナウイルスがコウモリから検出されたと明らかにしました。
コウモリはさまざまなウイルスの「自然宿主」として知られています。
例えば、エボラウイルスやニパウイルス、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源と考えられるウイルスもコウモリ由来の可能性があります。
しかし、なぜコウモリはこれほど多くのウイルスを持ちながら、自身は重篤な症状を示さないのでしょうか?
今回は、その理由について詳しく解説します。
コウモリがウイルスの自然宿主になる理由【6選】

- 高い体温と強力な免疫システム
- 長寿命
- 広範な移動能力
- 高密度な群れでの生活
- 多様な種の存在
- 他の動物との接触機会の多さ
高い体温と強力な免疫システム
コウモリは飛行することで体温が40℃以上に上昇します。
これは発熱と似た状態であり、多くのウイルスが増殖しにくい環境を作ります。
また、コウモリはインターフェロンという免疫物質を恒常的に活性化させており、ウイルスの影響を受けにくい体質になっています。
この免疫システムのおかげで、ウイルスと共存しながらも発症せずに済んでいると考えられています。
長寿命でウイルスを持続しやすい
コウモリは哺乳類の中でも比較的長寿で、10〜30年生きる種もいます。
長寿であることで、ウイルスが長期間体内に留まり続け、新しい宿主へと伝播する機会が増えます。
このため、コウモリは長期間にわたりウイルスを保持し続けることが可能になります。
広範な移動能力
コウモリは飛行能力があるため、他の動物よりも広範囲に移動できます。
これにより、ウイルスを遠くの地域や異なる動物種に広めるリスクが高くなります。
特に、渡りを行うコウモリは長距離を移動するため、ウイルスの拡散に重要な役割を果たしています。
社会的な生活と高密度な群れ
多くのコウモリは洞窟や樹木の隙間などに密集して暮らします。
そのため、唾液、尿、糞を介してウイルスが仲間内で簡単に広がります。
このような環境ではウイルスが持続的に存在しやすく、感染が絶えず続くことになります。
多種多様なコウモリの存在
コウモリは約1,400種も存在し、哺乳類全体の約20%を占めています。
この多様性によって、ウイルスが異なる種に適応しやすくなり、新たなウイルスが進化する可能性が高まります。
他の動物との接触機会が多い
果実を食べるフルーツバットは果樹園に飛来し、家畜や野生動物と接触することが多くなります。
そのため、ニパウイルスやエボラウイルスなどの人獣共通感染症の拡散源となることがあります。
まとめ

コウモリがウイルスの自然宿主となるのは、
- 高い体温と強力な免疫システム
- 長寿命
- 広範な移動能力
- 高密度な群れでの生活
- 多様な種の存在
- 他の動物との接触機会の多さ
といった複数の要因が組み合わさっているためです。
コウモリはウイルスと共存する特殊な生態を持つ生物であり、これらの特性が人間社会にも影響を及ぼす可能性があります。
今後、ウイルス研究や感染症対策の観点からも、コウモリの生態をより深く理解することが重要になってくるでしょう。
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