埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故は、老朽化した下水道管の腐食が原因だった可能性があります。
全国各地で下水道管の老朽化が目立つ中、設備更新や改修への投資はなかなか進んでいない状況にあります。
この記事では、老朽化するインフラの費用負担や課題について解説します。
日本のインフラ老朽化が進行中

日本全国には、戦後の高度経済成長期に整備された橋や道路が数多く存在します。
しかし、これらのインフラは50年以上が経過し、老朽化が進んでいます。
国土交通省によると、2040年には日本の橋梁の約7割が建設後50年を超えるとされ、メンテナンスや更新が不可欠な状況です。
更新費はどのくらいかかるのか?

インフラの老朽化対策には莫大な費用が必要です。
例えば、橋の架け替えには規模にもよりますが、1基あたり5億円から20億円がかかります。
国土交通省のデータによれば、全国の道路橋(約72万橋)のうち約26万橋が建設後50年以上経過しており、今後急激に更新が必要となります。
また、道路の補修や再舗装に関しても、1キロあたり3,000万円から1億円の費用が発生することが報告されています。
負担の主体は誰なのか?

- 国の財源(税金)
- 地方自治体
- 民間事業者・利用者
国の財源(税金)
国は道路や橋の維持管理に必要な費用を、一般財源や特定財源(例:ガソリン税、車両重量税)から捻出しています。
2023年度の国の道路関係予算は約3.5兆円に達しており、その一部が老朽化対策に充てられています。
地方自治体
地方の橋や道路の管理は、市町村や都道府県が担っています。
しかし、財政が厳しい自治体が多く、必要な更新を先送りにするケースも少なくありません。
例えば、東京都の道路維持管理予算は年間約1,000億円ですが、地方の小規模自治体では年間数億円程度にとどまるところもあります。
そのため、老朽化した橋が放置されたままになることもあります。
民間事業者・利用者
有料道路や高速道路では、通行料金を徴収し、その一部を維持管理に充てています。
NEXCO東日本の発表によると、2022年度の高速道路の維持管理費は約4,500億円に上ります。
また、民間企業が運営する道路や橋梁では、管理コストを利用者負担とするケースも増えています。
費用負担の課題と解決策

- 地方財政の逼迫
- メンテナンスの優先順位
- 民間資本の活用
地方財政の逼迫
多くの自治体では、人口減少や税収減によりインフラの更新費用を十分に確保できない現状があります。
維持管理費を捻出するための新たな財源確保が求められています。
メンテナンスの優先順位
すべての橋や道路を一斉に更新することは財政的に不可能です。
そのため、劣化の進行度合いや交通量を考慮し、優先順位をつけて維持管理を行う必要があります。
民間資本の活用
近年では、民間資本を活用するPPP(官民連携)やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)といった手法も導入されています。
例えば、大阪府ではPFIを活用した道路維持管理プロジェクトが進行中で、これにより年間10億円以上のコスト削減が期待されています。
まとめ

日本の橋や道路などのインフラ老朽化問題は、これからさらに深刻化すると考えられています。
限られた財源の中で、安全を確保しつつ適切な維持・更新を進めるためには、国・自治体・民間の協力が不可欠です。
今後、より持続可能なインフラ維持の仕組みを構築することが求められています。
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