「夫婦共働きはご遠慮いただく」職場結婚で雇止め通告の”不文律”に提訴

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3月12日、宮崎産業経営大で職場内結婚したことを理由に、同大学長から女性助教の雇い止めを通告されるなどしたとして、損害賠償や地位確認などを求めて宮崎地裁に提訴したことが分かりました。

内容について詳しく見ていきましょう。

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何があった?

訴えを起こしたのは、宮崎市の宮崎産業経営大学で法学部の助教を務めていた30代の女性と、女性の夫で同じ法学部の教授だった40代の男性です。

原告側によりますと、2人は去年7月、結婚したことを大学側に報告したところ、1週間後に学長から妻を今年度末で雇い止めにすると通告され、撤回を求めたところ規律違反を理由に2人とも戒告の懲戒処分を受けたということです。

さらに、妻は教員から事務職員に配置転換され、夫も教授から准教授に降格する処分を受けました。

大学側の主張

これについて大学側は「小規模大学のため夫婦共稼ぎはご遠慮いただく」という不文律があることや、妻が教員に採用される前から交際していたと判断したことを、理由に挙げたということです。

2人は雇い止めや懲戒処分などは不当だと主張して、大学を運営する学校法人と学長に対し、教員としての地位の確認や処分の無効などを求める訴えを先月、宮崎地方裁判所に起こしました。

訴えについて宮崎産業経営大学は「本事案は単なる雇用関係をめぐる争いではなく、学園の秩序・規律を乱した重大な規律違反の問題だ」とするコメントを発表し、裁判で争う姿勢を示しています。

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原告の思い

この件について、原告の女性は12日に会見を開いて涙ながらに話しています。

原告女性
原告女性

まさか結婚しただけで雇い止めになるとは思わなかった。
『結婚かキャリアかを選べ』と言われたようで、悲しい気持ちになった

原告女性
原告女性

宮崎県で唯一の法学部がある大学で、法にのっとらず学長のひと言で女性教員の仕事ややりがいを奪われることに強い憤りを感じる

と、厳しく大学側を批判しています。

大学側は 「学園の秩序・規律を乱した重大な規律違反の問題」 とコメントして、裁判で争う構えを見せてる。

ネット上の反応

今回の件は、職場での夫婦関係がどこまで許されるのかという問題だけでなく、女性のキャリアが理不尽に奪われたのではないかという観点からも議論を呼んでいます。

「産経大は小規模であり、夫婦共稼ぎはご遠慮いただく不文律がある」との大学側の見解に驚きました。 昭和ならまだしも令和の現代にこうした不文律を理由に雇い止めするとは。 学長が不文律と言おうと、これはパワハラやアカハラ(アカデミックハラスメント)に該当します。 それと、ガバナンス欠如にも当てはまるわけでそうなると、文部科学省の調査・指導の対象になる可能性もあります。 ガバナンス欠如に該当する場合、私学助成金の減額対象となってしまいます。 宮崎産業経営大学は法学部と経営学部の2学部で2024年入学者は2学部で240人(定員200人)。県庁所在地の宮崎市に立地していることもあり地方私大としては学生が集まっています。 このパワハラ・アカハラに対して学長などが謝罪・撤回する必要があります。そうでなければ騒動は続くでしょうし、大学の存続を揺るがす事態にもなりかねません。

大学ジャーナリスト/石渡嶺司

これは本当に驚きです。別の報道(NHK)では「撤回を求めたところ規律違反を理由に2人とも戒告の懲戒処分」「妻は教員から事務職員に配置転換され、夫も教授から准教授に降格する処分」があったと。10年ほど前まで、職場結婚すると異なる部署や地域に異動させられる「不文律」がある大企業はありました。ただその場合も、さすがに雇い止めや懲戒処分ということはなかったでしょうし、私がいたマスコミ業界でも女性社員・共働きの増加や人材確保の観点から、結婚後も同じ部署や地域の所属のままにする事例も増えてきたという印象でした。大学教員は配偶者と別居になることも多く、特に地方の大学を中心に優秀な人材に来てもらうために共働きでともに研究者である夫婦を同時に雇用することを目指す「配偶者帯同雇用制度」などを導入する大学も出てきています。つまりむしろ「共稼ぎ」歓迎の流れなのですが、そういった動きに完全に逆行しています。

東京大学准教授/中野円佳

不文律による雇止めは時代遅れで不公平だとのコメントや、小規模組織では夫婦の同僚化にはリスクがあるという意見も多く見られています。

また、ここ数日「さす九」が話題になっていますが、このニュースも「さす九」って言われてしまっています。

(「さすが九州」の略で、九州の人や文化に対して称賛や驚きを表すネットスラング)

最後に

今回は、宮崎産業経営大の40代男性教授と30代女性助教が職場内結婚したことを理由に、同大学長から女性助教の雇い止めを通告されるなどしたとして、損害賠償や地位確認などを求めて宮崎地裁に提訴した件についてまとめました。

大学に限らず、特に比較的小規模な組織の経営者には、職場内の恋愛・結婚を否定的に捉えている人は結構多いのではないかと感じます。

確かに、「夫婦を同じ部署に配置しない」など、人事面で配慮しなければならないことも出てくるところ、小規模な組織では対応しきれない可能性もあります。

また、例えば妻が夫の上司であるといった場合、管理・評価における公平性・透明性に対する疑義がより強まってしまう可能性もあります。

こうした課題を克服する努力が、経営者に求められていることなのでしょう。

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